別天神 神世七代

天地初發之時　於高天原成神名

天之御中主神【訓高下天云阿麻下效此】

次高御産巣日神　次神産巣日神　此三柱神者　並獨神成坐而　隱身也

次國稚如浮脂而　久羅下那洲多陀用幣琉之時【琉字以上十字以音】

如葦牙因萌騰之物而　成神名　宇摩志阿斯訶備比古遲神【此神名以音】
次天之常立神【訓常云登許訓立云多知】此二柱神亦獨神成坐而　隱身也

上件五柱神者　別天神

次成神名　國之常立神【訓常立亦如上】次豐雲上野神

此二柱神亦獨神成坐而　隱身也　

次成神名　宇比地邇上神　次妹須比智邇去神【此二神名以音】
次角杙神　次妹活杙神【二柱】
次意富斗能地神　次妹大斗乃辨神【此二神名亦以音】
次淤母陀流神　次妹阿夜上訶志古泥神【此二神名皆以音】
次伊邪那岐神　次妹伊邪那美神【此二神名亦以音如上】

上件自國之常立神以下　伊邪那美神以前　并稱神世七代

【上二柱獨神各云一代　次雙十神各合二神云一代也】

 
天地（あめつち）初めて發（おこ）りし時、高天原（たかあまのはら）に成りし神の名は、天之御中主（あめのみなかぬし）の神。
【高の下の天を訓（よ）みて阿（あ）麻（ま）と云う。下（しも）、此（これ）に效（なら）え】

次に高御産巣日（たかみむすひ）の神。　次に神産巣日（かむむすひ）の神。
此の三柱（みはしら）の神はみな獨神（ひとりがみ）と成り坐（まし）て、身を隱しき。

次に國稚（わか）く浮かべる脂（あぶら）の如くして久（く）羅（ら）下（げ）那（な）洲（す）多（た）陀（だ）用（よ）幣（へ）琉（る）時 【琉の字より上（かみ）の十字は音を以ちてす】に、

葦牙（あしかび）の如く萌え騰（あが）る物に因（よ）りて成りし神の名は、宇摩志阿斯訶備比古遲（うましあしかびひこぢ）の神。【此の神の名は音を以ちてす】　

次に天之常立（あめのとこたち）の神。

【常を訓みて登（と）許（こ）と云い、立を訓みて多（た）知（ち）と云う】　

此の二柱の神も、みな獨神と成り坐（まし）て身を隱しき。

上（かみ）の件（くだり）の五柱（いつはしら）の神は、別（こと）天（あま）つ神。

次に成りし神の名は、國之常立（くにのとこたち）の神。

【常・立を訓むことまた上の如し】

次に豐雲野（とよくもの）の神。

此の二柱の神もまた獨神と成り坐（まし）て身を隱しき。　

次に成りし神の名は、宇比地邇（うひぢに）の神、

次に妹（いも）須比智邇（すひぢに）の神。

【此の二はしらの神の名は音を以ちてす】

次に角杙（つのぐい）の神、次に妹（いも）活杙（いくぐい）の神。【二柱】　

次に意富斗能地（おほとのぢ）の神、次に妹（いも）大斗乃辨（おおとのべ）の神。

【此の二はしらの神の名もまた音を以ちてす】

次に淤母陀流（おもだる）の神、次に妹（いも）阿夜訶志古泥（あやかしこね）の神。

【此の二はしらの神の名は皆音を以ちてす】

次に伊邪那岐（いざなき）の神、次に妹（いも）伊邪那美（いざなみ）の神。

【此の二はしらの神の名も音を以ちてするはまた上の如し】

上（かみ）の件（くだり）の國之常立の神より下（しも）、伊邪那美の神より前（さき）を并（あわ）せて神世七代（かみよななよ）と稱（い）う。

【上の二柱の獨神はおのおの一代（ひとよ）と云う。次に雙（たぐ）える十はしらの神はおのおの二はしらの神を合せて一代と云う】